[完]大人の恋の始め方





そんなとき。


久しぶりに優斗と会うことが出来た。



何よりも自分を優先してくれた、その気持ちが嬉しくて。



奈緒の身体を決して、悪いことだと思わせない優斗の隣が、居心地が良くて。



久しぶりなのもあって、油断していた。



いつもなら、優斗の家なんて、なかなか行かないのに。


気持ちが高ぶってたんだ。


行為の途中で、まさか楽が来るなんて、思わなかった。





「なに、やってんの?」


聞いたことのない、低い声は、私たちを恐怖に陥れるには十分で。



触れていた優斗の身体から、冷や汗が流れるのを、私は感じていた。



このままでは、優斗が何か言われる。


あんなに仲の良かった二人を、私が壊してしまう。



「楽、違うの!私が勝手にッッ」



「いいよ、奈緒。俺が悪いんだから」



優斗は私の言葉を遮り、立ち上がった。



半裸の優斗は、少しずつ楽に近付く。



「どういうつもりだよ?」


奈緒は恐すぎて、うずくまるしか出来なかった。



そのうち、口論は荒々しくなっていった。



暴力が起きて、血の匂いが微かにした。



怖くて怖くて、嫌で。
二人とも大好きな、自分が1番ダメなんだ。



「もう止めてっ!!!」