一線を越えてからは、お互い時間を見付けては、身体を重ねた。
それが安心感を抱いている感覚だった。
一方で、楽への罪悪感が二人に重くのしかかっていたのも事実。
それでも、二人が別れることは無かった。
そんなある日。
「なぁ、最近お前雰囲気変わった?」
楽と奈緒が、一緒にベッドで寝ているときだった。
「そ、そぉ?」
もともと、楽の綺麗な顔は、奈緒のタイプ。
その顔が近付くと、どこか狂ってしまうのが、奈緒の癖。
だから、驚いても、いつもと同じように見え、楽はさほど気にしなかったようだ。
だが、もうバレるのも遠くないかもしれない。
そんな予感が、奈緒の心中にはあった。
「そういえば、優斗が出てる雑誌見た?」
今度は優斗の話題。
ヒヤヒヤ続きは、身体に毒だ。
「うん、見たよ。凄くカッコよく撮られてた」
きっと楽は、優斗を弟のように慕っている。
それを自分が崩す原因になっている。
どう考えても、自分は間違った行動をしている。
そんなの分かっていた。
なんとかバレずに、半年以上が経った。
秋真っ盛りの10月。
優斗も高校2年生になり、カッコよさも、一段と上がった。
一方で、モデルが忙しすぎで、会える時間が、どんどん減っていった。
どうしたら会えるのだろう?
ここのところ、ずっとそればかり考えていた。
隣には楽がいるのに。

