[完]大人の恋の始め方





「急に驚かせてごめんね?」



「いっいえ・・・」



すると彼女はフワッと笑い、店員を呼んだ。



どうやら、フランス語でメニューをなにか頼んでるみたい。



あたしはフランス語なんてほとんどわかんないから、聞き取れないけど。



昔から覚えられないんだよね~。



「あの・・・あたしに何か用があったんですか?」



「まぁね」



口元が、きゅっと上に上がる。


一方のあたしは、不安で押し潰されそうになった。



気にするな。
優斗さんのその言葉があっても、やっぱり不安にはなるものだ。



だって目の前の奈緒さんは、ほんとに綺麗なんだもん・・・。



「あ、その前に昨日はゴメンなさい。ロリコンだなんて言って。でも、優斗が年下と付き合うなんて、信じられなかったの」



年下・・・。
それは、変えようのない事実だ。



「大丈夫です。あたしが年下なことに変わりはないですから」



「怒ってる?」



急に奈緒さんが大人の表情に変わった。



大人独特の、妖艶で余裕な目。


あたしには、それがまだない。


「なんでですか?」



「んーん?私の立ち位置から、ロリコンって言われて怒っちゃったかな~って」



楽しんでる・・・?



なんだか、彼女の喋り方には真剣味に欠ける。