[完]大人の恋の始め方





奈緒さんのところに行ってしまわないかって。


心変わりしちゃうのかなって。


辛くなる。



それが表情に出てしまった。



くしゃっと、いきなり優斗さんに頭を撫でられる。



「えっ?」



ビックリして見上げれば、すぐそこに優斗さんの優しい笑顔。


「なにを不安になってんの?」



頭をポンポンと撫でる優斗さんは、呆れるほどカッコイイ。



「……いやぁ」



言ったら…優斗さんはどう思うかなぁ…。



もしかしたら、大人の女性は気にしないのかもしれない。



呆れられちゃうかもしれない。



そう思ったら、あたしは笑顔でごまかすしかなかった。



「なんでもないよ!電話、大丈夫?」



とりあえず一応、電話を確認してみる。



「ん?ああ、楽からだよ」



「楽さん?」



あれ、奈緒さんじゃないんだ…。



もしかして、楽さん…、奈緒さんと再会したのかなぁ…?



「あ、そうそう。今から楽来るみたいなんだけど…」



携帯で時間を確認しながら、流し目をあたしに向けた。



ドキッとするのを何とか抑える。



流し目とか、カッコよすぎるものっ!!



「あたし、いない方がいい?」



「え、いや居なよ」


……いいのかなぁ?