[完]大人の恋の始め方





「綾香言っちゃえ~」なんて騒がれる中、綾香ちゃんはあたしを涙目で睨んだ。




「あたし、アンタの事大っ嫌い!あたしが好きになる人は、皆アンタの事が好きっ。


挙げ句の果てには、蓮くんまでッッ」




「え…蓮くん?」



頭の中で、蓮くんというワードを探す。



もしかして…



ハッとした顔をすると、さらに彼女の顔がキツくなった。



「そうよ。アイドルの中島 蓮くんよ!

あたし見たんだからッッ
頭ポンポンされてるところっ」




なんて事だ。


皆の話を合わせると、ただのねたみじゃないっ



なんであたしが、そんなことで攻められなくちゃいけないのよ。




怒りがフツフツと沸き上がる。



「ねぇ?どうしてくれるの?」



春奈ちゃんの微笑みで、あたしの中の糸が切れた。



「ふざけんじゃないわよ」



そう言うと、彼女たちを睨みつける。




「え、なに…」



と、それぞれが口にする。



「あたしは、確かにいい性格もしてないよ。響くんにだって頼っちゃったし、先生の事だって好きになった。


でもさ、それってあなたたちも一緒じゃない?」



この中で1番背の高いあたしは、必然的に全員を見下した。