[完]大人の恋の始め方





「やっぱり俺が友美の事好きだと思ってたのか」



分かりきったように、呆れたようにため息をつく彼。



あたしは背後にあったロッカーに身を預け、響くんを見上げた。



すると彼は、首の辺りを擦った。



「ったく。俺の気持ちも少しは考えろよ…」



「………はい?」


意味が分からず、眉間にシワが寄る。



すると彼は、ハッとしたような顔をして、あたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。




「ちょっとー!!!」



あたしは髪の毛を直しながら、響くんを睨んだ。



もぉ!
すぐにセットぐちゃぐちゃにするんだからっ!!



そして、あたしも響くんの髪の毛をくしゃくしゃにしようとした時、教室のドアが一気に開いた。



ビックリして、そちらを見ると、そこには息を切らした計くんの姿。



女の子達は計くんを見るなり、奇声を上げている。



1年のNo.1だからね…。

あたしは年下には興味ないけど…。



「計くんどうしたの~?」



なんて、甘過ぎる声には一切、見向きもせず、怒った表情でツカツカと教室内に、入ってくる。



そして、彼は友美の前まで来て、止まった。



教室内がやけに静かになる。



なんでかって?
そりゃ、女の子達は嫉妬心が丸見えだし…。



男の子達は、不安そうな顔してるからね…。