[完]大人の恋の始め方





持って来た化粧ポーチから、コンシーラーやファンデを取り出し、目のクマを隠していく。


さらに、目の腫れぼったさを隠すためにアイプチ。



ラインとマスカラを使い、出来るだけナチュラルにパッチリに仕上げていく。


10分程でメイクを終わらせ、次にコテで髪の毛を巻く。



やっぱりボサボサなんて友美らしくない。



一通り済ませると、見違えるほどに出来上がった。



「まぁ、上出来かなっ」



チラッと友美を見ると、少し喜んでるように見えた。



「杏里、化粧上手くなった?」



自分の顔をパチパチと見つめている友美。



「そうかなぁ?」



むしろ下手すぎて何も言えない。



だって優斗さん、上手だから。
って、比べる相手が悪いんだろうけど。



「ありがと。じゃあ、教室戻ろう?」



と、友美はスタスタと歩いて行ってしまうから、あたしは急いで追い掛けた。



教室に入ると、既に何人かはいた。



その皆が、友美を見付けて駆け寄ってくる。



教室の隅では、響くんが目を見開いて突っ立ている。



よっぽど驚いたんだろうな。


あたしは響の隣へ行くと、彼の腕を人差し指でツンツンと突いた。



「っあ~。ビックリした。おはよ」



「おはよ。友美しか目に入らないわけ~?」



朝からニヤニヤ顔をプレゼントしてみる。