[完]大人の恋の始め方






今日は終業式。


教室に入ると、すでに友美が来ていた。



「っ友美!?」



駆け寄ると、友美は重々しく顔を上げた。



その顔にはクマがあり、頬も少しこけている。



よく見れば、身体自体もかなりやせ細り、骨と皮の状態。



少なくとも、以前のような健康さは、どこにも見当たらない。


「杏里…。久しぶり」



久しぶりに聞いた友美の声は、やっぱり掠れていて聞こえづらい。



あたしは、そっとボサボサの髪の毛に触れた。



「どうしたのよ。久しぶりに会ったのに、こんな姿って…」



焦点が合わないのか、友美は必死にあたしを見続ける。



「ちょっと男の家に居て」



「それでなんで1ヶ月も休む必要があんのよ」



ちょっと強く言えば、友美の目に涙が浮かぶ。



今までなら、こんなこと無かったのにっ!



あたしは変わり果てた友美に、動揺を隠せなかった。



「友さぁ、初めてこの人の言いなりならいいかもって、思ったんだよね…」



「言いなり?」



眉を潜めて彼女を見れば、その目はどこかへ飛んでいた。



「そう。友はあの人のペットでもいいの…」



………意味が分からない。



とりあえず、友美を元に戻さないといけない。



あたしは友美をトイレへと連れ込んだ。