[完]大人の恋の始め方






「全く説得力ないんですけどーっ」



と笑い出すクラス。



それが嫌だったのか、あたしの腕を引き、無理矢理教室をあとにした。



向かったのは、屋上へと続く螺旋階段。



そこまで来ると、あたし達は腰を下ろした。



「悪いな。疲れた?」



「少し…」



まぁ、久しぶりの全力ダッシュなので。



すると彼は息をついて、話を始めた。



「実は、友美は日曜から行方が分かってないらしいんだ」



「え?!」



あたしと遊んだあとだ。



「別に家出する理由とかも思い当たらないらしくて」



「そんなぁ…」



友美…、今どこにいるの?



あたしは、携帯をギュッと握りしめた。



今友美と繋がれるのは、唯一この携帯だけ。



「なんで急に家出なんか…」


そう呟くと、響くんはあたしの側頭部にデコピンをくらわせた。



「バーカ。まだ決まってねえよ」


「……そうだけど」



ただ男の家に泊まってるなら、なんで今日は来ないのだろうか。



出口が見えない。




「とにかく、俺らは、待つしかねえよ…」



だけど、次の日もその次の日も友美が来ることは無く、気付けば1ヶ月が経ち、夏休みを目前に控えていた。



テストも無事、よい結果に終わり、十分夏休みを満喫できる。