[完]大人の恋の始め方





「あ、でも美麗ちゃんって性格悪いって聞くよ?」



「え、そうなの~?まぁ、顔が顔だしねぇ」



彼女達は、どこでそんな情報を手に入れてるのだろうか…?


あっけを取られていると、彼女達はニヤリと笑った。



「そういえばさぁ、杏里ちゃんって彼氏いるの?」



「ええ?」



急に何なんだ、その方向転換は。



「てゆかさぁ、あのカッコイイ人って彼氏?!」



もしかして、優斗さんのこと?



「え、狙ってるのにぃ!!」



「はぁ?アンタじゃ無理でしょー」



気が付けば、クラスのほとんどの女子に囲まれる始末。



「ほら、どいて」



不意に、低い声が背中から聞こえた。



振り返ると、響くんは携帯をしまって、あたしを見ている。



電話が終わったようだ。



「響ってさぁ、杏里ちゃんと友美のどっちが好きなのよー?」



突然、あたしと響くんの間に割り込んで、騒ぎ出す女子。



さすがの響くんも、ちょっと引いている。



「なんだよ、その質問」



怒ってるようにも聞こえるその声。



だけど、彼女らには効果がない。



「だっていつも一緒にいるじゃない?どっちが好きなのよ~?」



「はぁ?別に何の感情もねぇよ」



そう言う響くんだけど、耳が赤い。