[完]大人の恋の始め方





「ふっ。何歳になってもやっぱり"あーん"はヤバいな…///」


「ヤバい?」


恥ずかしいって事かなぁ?



「前屈みになって、胸の谷間が見える」



ニヤリと笑う彼に、あたしは失笑した。



コイツ、最低だわ。


「まぁ、半分は嘘」


そう言いながら、自らのパスタをフォークに絡める。



「嘘って?」



あたしが尋ねると、ふっと口角を上げて、そして。



フォークを目の前に出された。


あたしはそれに緊張しながらも、パクリと口に含んだ。



……美味し~。



「なんか、緊張はするけど、味を共有してるみたいで、幸せじゃね?」



と、私の口付けたフォークを舐めとる彼。



妖しい笑みと、妖艶な舌。


その全てが、あたしをドキリとさせた。



「まぁ…言われてみれば…」



「親密な関係だからこそだろ?」



あーんという、一つの動作から、そんな事まで考える優斗さんって、一体…。



そう思いながらも、あたしはパスタを完食した。



****


「ふーっ美味しかったぁ」


部屋に戻ると、あたしはソファーに寝転んだ。



「んなすぐに寝たら、牛になるぞ?」


自分で言っときながら、その言葉に笑う彼。


あんたは子供ですか?!って感じ。