[完]大人の恋の始め方





でもそんな優斗さんが嫌いじゃない。



「お待たせ致しました。アスパラと車えびのペペロンチーノでございます」



サラダを食べ終わる頃、絶妙なタイミングで優斗さんのパスタが運ばれてきた。



うわぁー…、美味しそう。



「そして、ボンゴレパスタでございます」



「あ、ありがとうございます」



うわぁー…、こっちも美味しそう。



「杏里のパスタ、美味そう」



不意に、優斗さんは身体を乗り出して来た。



「…?」



何がしたいのか分からず、ジーッと見ていると、カクンッと優斗さんの頭が落ちた。



「ったくさぁー…、どんだけ鈍いわけ?」



えーっ??
今ので、なんで鈍いになるの?!


それでも尚、ジーッと優斗さんを見る。



「はぁーっ……。杏里、俺そっちも食べたいの」



「あー!なんだっ!!ハイッ」



と、お皿を渡そうとすると、首を振られた。



「えー、じゃあ何…」


「"あーん"して?」



首を横に傾けて、可愛くおねだりする姿は、もう年上なんか思わせない。



それくらい可愛い。



「優斗さんってずるいよねー」



依然首を横に傾けたまま、その大きな目を真ん丸に開いて、なんで?って顔をする。