[完]大人の恋の始め方





「えっ?」


目を見開いて驚く優斗さんを、あたしはクスリと笑った。



「いいじゃん。あたしは優斗さんのメイク好きだし、髪型も好き。
そう思ってる一般人だって多いし、べつに全員が顔だけってわけじゃないもん。」



自信家に見えたのに。


実はいつも不安で押し潰されそうだったんだね。



だからあの日も、顔を歪めたんだね。



今さら優斗さんの不安に気付くなんて、情けないかもしれない。



でも、不安を知った以上、これからは支えたい。



「さてと、レストラン行くか」



時計を見れば、もう20時。


お腹もペコペコだ。



笑顔で頷くと、レストランへと向かった。



途中エスコートしてくれる優斗さんには、ほんと心臓が壊れそうだった。



レストランにつき、席に着く。


どうやらイタリアンのようだ。


もう嬉しくてよだれが出そう。


メニューを満面の笑みで見ていると、優斗さんが急に吹き出した。



何かと思って彼を見ると、笑いを必死に抑えている様子。



ここが個室でよかった。


じゃなきゃ、今頃凄い視線が注がれていただろう。



「どうしたの?」


と尋ねれば、優斗さんは、またもや吹き出した。



ちょっと、人の顔見て笑うとか、失礼じゃない?!