「優斗さん?」
どうしたの?
ジッと見つめると、彼は短いため息をついて、視線を夜景に移した。
「お前くらいだよ。単純に俺のメイクを褒めてくれるのは」
そう呟いた優斗さんの横顔は、どこか悲しげだ。
「でも…テレビとかでもよく優斗さんの名前出てくるし。あたしだけが褒めてるわけじゃ…」
そう言うと、ちょっと馬鹿にしたような、鼻で笑う。
「あれは、全部俺の顔で判断してんだよ。見りゃ分かる。好意丸出しだかんな」
確かに優斗さんは容姿端麗。
しかもあんな至近距離で、メイクして貰うんだもん。
コロッといっちゃう女の子も多いはず。
でも…
「違うよ。優斗さんは、その人を1番引き立てることの出来るメイクを出来るんだよ。
プロ中のプロだよ」
初めて会ったときから、その尊敬の心は変わらない。
「フッ。やっぱり、杏里を好きになってよかった。
ちゃんと、メイクだけで評価してくれる。
お前が初めて家に来たときも、そう言ってくれてスゲー嬉しかった」
そう言って笑う優斗さんの表情は、晴れているようで、曇っている。
「あたしが、優斗さんを絶賛するだけじゃ、足りない?
皆が優斗さんのメイクを絶賛してくれないと嫌?」

