どうしてだろう。
同じ道を通ったのに、なぜこんなに強いのだろう。
「じゃあ、逆に杏里ちゃんは恋することが怖い?」
「はい…。あたしの思っていた恋愛を否定され、尚且つ自分が重い女だと分かっていて…それで好きな男性に拒まれるのが、怖いです」
あたしが好きと思っていた感情は、ただの子供の遊び。
その感情ですら重いと言われたあたしが、もし大人の恋をしたとき…、あたしはどうなってしまうのだろう?
いつもそんな疑問に悩まされる。
「重いって、どうして思ったの?」
優しい瞳が、あたしを写す。
「元カレに……、言われたんです」
そうは言ったが、優里花さんは特に変化するわけでもなく、ただコーヒーを眺めていた。
「杏里ちゃんさぁ、大人の恋って、どんな恋だと思う?」
外では車の走る音が五月蝿いほどに鳴っている。
それでも、それを感じさせないほど、優里花さんの瞳は、あたしを支配した。
大人の恋…。
「スタイリッシュで、スマートで、相手を干渉しあわない関係…ってイメージがあります」
互いの価値観を否定せず、ある一定の距離がある。
でも、心では繋がっていられるような……。

