[完]大人の恋の始め方






「敵わないですね…」



最初から敵わないのは分かってるけど。



「そうね。生きてる年数が違うからっ」



「あははっ。それで、本題なんですけど…」



そう切り出すと、優里花さんは姿勢を直した。



だから、あたしもつられて姿勢を直す。



「実は、最近優斗さんを見ると、胸が苦しくて、痛くて、それでいて締め付けられるような気分になるんです」



この気持ちはなんなのか。



「うふふ。やっぱり若いわね~」



目を細めて笑うと、あたしをジッと見ている。



「この気持ち、なんだと思います?」



「そうね。自分では、見当が全然つかない?」



全くつかないか。と聞かれたら、違う。



何と無く、あたしは、優斗さんが好きなんじゃないかって想う。



でも、それは、優斗さんからしたら"子供の恋愛ごっこ"と言われてしまうのではないか。



そんな不安もあって、優斗さんを好きなんだと、素直に想う事が出来ない。



「ちょっと、心当たりがあるのね?」



ブラックコーヒーに手をつけた。



「あるのかもしれないですけど、その想いは優斗さんにとったら、子供かもしれません」




だからこそ、突き止めたい。



「子供…?」