怖ず怖ずと離れると、満足したのか、小さなため息を着いた。
「杏里さぁ、そろそろ気付かないと、まずいんじゃない?」
「何?」
一体何に気付けばいいのだろうか?
考えても答えは出て来ない。
「ほんと、鈍感なんだね。でも……」
言葉を止めて立ち上がる友美。
「友が教えられる事でもないよ。それは自分で見つけなくちゃ」
そう言って教室に戻ろうとする友美。
そんな友美の後を、あたしは急いで追い掛けた。
教室に戻ってからも、あたしの頭の中は、優斗さん一色。
どんなに皆に騒がれても、まるで耳に入らない。
自分で見付けなきゃいけない気持ちって、一体何なんだろう。
苦しくて、痛くて、辛くて、このもどかしさのあるような気持ち。
この正体を、早く知りたい。
放課後、あたしは優里花さんのもとへ、脚を運んだ。
やっぱり頼れるお姉さんは、優里花さんだ。
「こんにちは」
馴れたように社長室に入ると、何やらパソコンの睨めっこをしている優里花さんの姿。
忙しかったかな。と、今更後悔。
まさに後悔先に立たず。
「今日はどうしたのぉ?」
でも優里花さんは暖かく出迎えてくれた。

