「なんか…心って大人だね……」
目をぱちぱちさせながら、心美に圧倒される友美。
あたしも、同じ16歳なのか?と不思議に思うと共に、憧れを抱いていた。
「大人じゃないよ。心も昔は杏里と同じ立場だったし」
だとしても、そこから成長できた心美は凄い。
あたしは?
あたしは、いつまで大翔先生を引きずるの?
「まぁ、それより先に、杏里は自分が恋する事、許してあげな?」
「許す…?」
ポカンとして心美を見つめれば、そっと頭を撫でられた。
「そうだよ。重くたって、そうじゃなくたって、杏里は杏里。」
あたしは、勢いよく心美に抱き着いた。
心の拘束が、やっと無くなった気がしたんだ。
もしかしたら、待っていたのかもしれない。
あたしを肯定してくれる言葉を。
「心はやっぱり凄いねぇ。友じゃ相談相手にしかならなかったのに」
「ううん。友美にも感謝してるよ!」
そう笑顔を向ければ、友美もまた勢いよくあたしに抱き着いた。
「それならよかったぁ!」
友美に相談していなかったら、今頃あたしは潰れていたと思う。
「それで、問題はまだあるね!謎の奈緒さん事件!」
すっかり事件化されてしまった。

