[完]大人の恋の始め方





「でも、好きになっちゃったんだ?」



心美の言葉にギョッとする。



「あれ、違った?だって今の話だと完全に…ねぇ友美?」




さも当たり前のように友美に確認する。



「それがぁ、友もそう思ったんだけど。問題発生なわけよ」



「何?」



足を組み直し、クッションを抱く心美。



「それがさぁ、ヒロ先生にイロイロと中学ん時植え付けられてさ。それでそのまま怖くなって、もう恋はしないんだって」



と、呆れた目で見られるけど、オールシカト。



だって、仕方ないじゃん。
怖いんだもん。


嫌われるのが。



「へ~。ちなみに何言われたの?」



ポテチを頬張る心美。



「うんとね。…重い女、だっけ?」



と確認されるけど、あたしはそれを肯定も否定もせずにクッキーに手を出した。



「重い女かぁ…。まぁ、あながち間違ってもいないんだろうけど」



チラっと見られたあたしは、小さく頷いた。



「先生の事、大好き過ぎたんだと思う…」



「違うでしょ。熱狂的なファン過ぎたんでしょ。心には何がいいんだかサッパリだけど」



と、今度は三ツ矢サイダーに手を伸ばす。



「熱狂的なファン過ぎたってどういう事?」



あたしは心美の目をまじまじと見た。