[完]大人の恋の始め方





帰り道、ようやく止まった涙。


まだちょっと、鼻水を啜るが、だいぶ落ち着いた。



こんなにも早く、落ち着き出す事が出来たのは、友美が隣に居てくれるからだと思う。



「友美、さっきはありがとね?」



もう何度目か分からない。
それくらい沢山御礼を言っていた。



「もーっ!でも、だいぶ収まって良かった」



落ち着いたあたしの表情に、安堵する友美。



「えへっ。友美のおかげだよ!でも、なんで分かったの?」



うちの教官室は、窓は小さくて、しかも上の方に付いていて、中を覗けない。



第一、教室で待っていたのに、何故友美を来てくれたのだろうか?



「あ~、実はね、それ見付けたのは偶然なの。なんか響がさぁ、今日元気ないからカラオケでも奢ろうって話になったのよ。

それで、友がよんでくるって言って、教官室言ったら声が聞こえて…蹴っちゃった!」



おちゃらける友美。



響くん…元気ないからって、気にしてくれてたんだ。



「それで、響くんは?」



もしいるなら御礼言わなきゃ。



「あー、友が電話で伝えたら、んじゃ今日は、友美が一緒にいてやれって。

あいつ、杏里にはホント優しいよねーっ」



確かに優しい。


「響くんは、皆に優しいよ」