[完]大人の恋の始め方







助けてくれたのは、友美だった。




どうやら友美は、先生の頸部に蹴りを入れたようだ。




「ちょっと杏里。大丈夫?!」



泣きじゃくるあたしを、必死に抱き留める友美。



それがあたしに、安心感を与えてくれ、さらに涙が出る。




そんな時、先生が首を押さえながら、立ち上がった。




「いって~。おい、佐藤」



想像を超える痛みなのか、顔が歪みまくっている。



「何?ヒロ先生っ」



声と口調は、いつもの友美だが、顔が笑っていない。



今にも手を出しそうな勢いだ。



「何してくれてんだよ」



そんな友美が気にくわないのか、不機嫌丸出しの先生。



「何って、蹴ったのよ?だって~、明らかに杏里嫌がってたし?」



そう言うと、先生のネクタイを引っ張り、自分にグイと引き寄せた。




「あのねぇ、友の事嘗めて掛かられちゃ困るんだよね~。友にとって杏里は、掛け替えのない大切な子なの。

次こんな事してみ?あんたの事殺すよ?」




そう言って、先生を突き飛ばし、あたし達は教官室を後にした。