「だめっ。泣いたら重い女なのっ」
あたしは、男の人の事ではもう泣かないと、決めていた。
もう傷付きたくないから。
だから、もう誰も好きにならないって…。
もう、感情を寄せないって。
そう決めてたの…。
「杏里。泣いたからって重い女なんて思わないよ…?」
そんな優しい言葉も、あたしの凍った心には響かなかった。
友美はそう思うのは、友達だから。
でも、男の人はソレが重いの。
もうあんな経験、したくないから。
だからあたしは、もう泣かない。
「大丈夫っ!涙も引いたからっ」
無理矢理笑顔を作り、友美の肩を叩いた。
「あーもー!!何が大丈夫よっ」
が。
急に怒鳴りだす友美。
怒りのせいで勢い良く立ち上がる。
「え、友美?」
恐る恐る友美を見上げる。
「杏里をこんなにした、ヒロ先生がムカつく!」
壁をダンっと叩くと、少しだけ揺れた。
実は友美は、合気道、空手、柔道、剣道、弓道、の有段者。
更に、キックボクシングやアメフトの経験者でもある。
友美の肉体美の秘訣は、その強靭な運動神経とスポーツ経験にあるのだ。

