あたしは、力いっぱい屋上のドアを開けた。
その瞬間、5月独特の生暖かい空気があたし達を包んだ。
「空綺麗ー」
見上げた空は、真っ青で心とは真逆で晴々していた。
「杏里。何があったの?」
その空の下に、あたし達は座った。
「ねぇ、友美。あたしは、ある人の代わりだったみたい。」
「どういう事?」
眉をしかめる友美に、あたしはフランスでの楽さんと優斗さんの会話を話した。
「つまりは、奈緒さんって人を楽さんは取られちゃったから、その仕返しに杏里を使おうとしたって事?」
改めて聞かれると、胸が酷く痛い。
が、それが現実(リアル)。
あたしは頷いた。
「そっかー…。ところでさ、楽さんっていくつなわけ?」
「うーん、よく知らない。でも、何と無く優斗さんよりは年上な気がする。」
最初の頃、何と無くそんな印象を受けた。
とか言って、もし同い年ならだいぶ失礼だが。
「あ、公式サイト見れば分かるんじゃない?」
と言いつつ、携帯を弄りだす。
機械並に素早い操作。
一気に公式サイトが開かれた。
「んーと?………あ、あった!」
なんでそんなに歳を気にするのか疑問に思いつつも、携帯を覗く。

