「あーフレンチトーストっ!やったぁ!!」
あたしは、複雑なフランス料理なんかより、フレンチトーストが1番好き。
フランス料理人の娘が、何を言ってるの!?って、言われちゃうかもしれないけどね?
あたしは、一口分にカットしたそれを、口に運ぶ。
「ん~っ!!!美味し過ぎるっ♪」
昔から、特にパパのフレンチトーストは大好きだ。
甘さが丁度よくて、何個でも食べられちゃう。
そんな料理。
「杏里ちゃんって、フレンチトーストが好物なんだ?」
楽さんの問い掛けに、大きく頷く。
「うんっ!パパのフレンチトーストは特に好きなんです」
興奮気味に答えれば、楽さんはニコニコと笑っている。
「ところで杏里?なんでフランスにいるんだ?」
今更な質問を父は問い掛けてくる。
「あらホント!!なんでフランスにいるの?…あれっ?ここ日本?」
なんて、マヌケでバカな母は置いておいて、あたしはここに来る成り行きを説明した。
説明が終わると、すっかり目を見開いた父。
ずっとニコニコしている人だけに、この風景は笑える。
「パパ、大丈夫?」
と問い掛ければ、やっと帰ってくる父。
一体どこまで行ってたんだか。

