苦手…うん。苦手なの。
なのに………
「なんであたしは、一緒にいるわけ?!」
なんて叫べば、楽しそうに笑う楽さん。
「なんでって、俺が迎えに行ったからっしょ??」
ニヒヒと笑う楽さんに、睨みを効かせる。
そう。
あんたは、あたしを地獄に無理矢理連れて来たのよ。
今日は、せっかくのOFF。
フランスを心行くまで堪能する予定だった。
…………なのにッッ!!!
無理矢理、ホテルに押しかけて、
優斗さんを蹴り飛ばし、
あたしを無理矢理抱き抱えて来たのだ。
とんだ悪魔。
強引かつ非常識。
こんな男、大っ嫌いッッ!!!
本当なら楽しいはずの、フランスの街を、あたしは膨れっ面で歩く。
街行く人は、あたしを不思議そうに見るばかり。
でも、そんなの関係ないもんっ!
これは、表現の自由だもんっ!
フランスに表現の自由があるかどうかは、知らないけど。
「ねぇ杏里ちゃん?」
語尾にハートが付いていて気持ち悪い。
だけど、さすがにシカトはまずいと思い、目だけを向ける。
「ブフッ!!!ひゃひゃひゃ!!」
あたしの顔を見るや否や、爆笑仕出す彼に、さらなる腹立たしさを感じる。