時間が、止まったのかと思った。
片想いの女………。
つまりは、あたしの事が好き…?
いやいやいや。
優斗さんに限って、それは無いだろうっっ。たぶん。
「だから、悪いけど連れてくよ」
一瞬火花が散る両者。
だめだ。
頭が付いていけない…。
その時、ポケットに入れておいたあたしの携帯を、楽さんが取った。
「あっ!携帯!!」
取り返そうとすると、手早く何かを操作する楽さん。
ほんの数秒だったと思う。
楽さんは、ニカリと笑って、あたしに携帯を返した。
「ほらよっ」
何をしたのか気になって、ディスプレイを見ると、楽のメアドと番号が表示されていた。
「えっ!何コレ!!」
と、顔を上げると、楽しそうな笑顔で、楽はあたしに自分の携帯を見せる。
そこには、間違いなくあたしのメアドと番号が映っていた。
「にひっ!もーらいっ」
まるで子供だ。
誰もが、そんな印象を受けると思う。
「チッ。行くぞ」
一方、優斗さんは不機嫌が全身から滲み出していた。
そのまま、あたしは優斗さんに肩を抱かれ、ホテルまで向かった。

