「出逢ってすぐに告白とは、どういう神経をしていらっしゃるのか」
低くて、怒気が含まれた声。
「やだなぁ~高杉さん♪一目惚れだってあるじゃないですかぁ!」
彼がなにげに出した一目惚れ。
それが、あたしにあの頃をフラッシュバックさせる。
もちろん、一目惚れがダメなわけじゃない。
でも、それが本気の恋になるには、その人の性格やら何やらを知る必要がある。
「一目惚れねぇ。悪いけど、そんなんでコイツ渡せませんから」
きっと、優斗さんは分かってる。
あたしが、この人を怖がってるのも、"一目惚れ"という単語に、過剰反応している事も。
あたし、いつになったら吹っ切れるんだろう…?
自分で自分が情けない。
「渡せない。高杉さんは、杏里ちゃんの何なんです?」
何だか、妖しい笑みを向ける楽さん。
あたしの何。
それは、あたしも気にしていた事。
優斗さん、どう思ってるの?
「俺と杏里は…………
俺の片想いの女」

