「おっしゃられている意味が分からないんですが…」
欲しいって何?!
どういう事!?
優斗さんは、いくらか不機嫌な表情で。
「そのまんまの意味だよ」
そう言うと、あたしの顔に自分の顔を近付け………
頬にキスをした。
リップ音が、耳にダイレクトに響く。
虫ずが走る…という表現が、ピッタリかもしれない。
「分かった?俺、杏里ちゃんのこと、好きになったみたい」
あたしの気持ちなんて、まるで気付かない彼。
え?
今、なんて言った…?
余りにあっけらかんとする彼に、あたしの耳がおかしいのかと、疑う。
「楽さん…?」
とりあえず、聞き返そう!
それで確かめよう!
そう思いながらも、うっすら聞こえたその声に、あたしは受け入れをしたくなかった。
「だーかーらー!!俺は杏里ちゃんが好きなの♪欲しいの♪」
そんな希望は打ち抜かれ、全身倦怠感に襲われる。
だって…、気持ち悪い。
こんないかにも軽い男に、好かれるのも、告白されるのも。
すると、いきなりあたしは後ろから抱き込まれた。
振り返らなくても分かる。
この爽やかな匂い。
優斗さんだ。

