「杏里ちゃん。それは、誰も最初はそうだよ?でも、やってる間に、やり甲斐とか、新しい自分が見つけられるんだ」
あたしは、仮にそうだとしても、美麗さんとか、他の芸能人に混ざるのは無理。
それに、やったところでこんな不細工が売れるわけがないのだ。
「ほんとにごめんなさい!」
必死に断り続けるが、片山さんも手を引いてはくれない。
すると、優里花さんは、いきなりあたしを押し出した。
「えっ!?優里花さん?」
優里花さんを見れば、任せて!といった表情をあたしに見せる。
「悪いんだけど、この杏里は、我社の専属モデルとして雇う契約になってますので」
…………はい?
ええっ?!
ちょっと待ってよーッ
「そうですか。わかりました。でも、余りにも目立たないようでしたら、取りに行きますからね」
彼は、そういうと、人混みに姿を消した。
優里花さんは、それを見届けると、あたしの方に振り返る。
「杏里ちゃん。ごめんね!!」
優里花さんは、ほんとに申し訳なさそうに、あたしに頭を下げる。
「とりあえず、助けてくれてありがとうございました。あの、それで、モデルの件って…」

