道化師は言う。

「別に意味があったわけじゃないよ。たださ・・・悔しかったんだよ・・・俺は毎日生きるために、必死だった。


 パンが欲しくて一人殺した。スープが飲みたくて、二人殺した。

 温かい毛布が欲しくて、一家全員を殺した・・・。


 殺すたびに、吐き気がして、だけど、そんなものも時期になれて・・・


 だけど、その代わり、いつ自分が目の前の遺体のようになるのか・・・毎日が怖かった。


 あいつはさ・・・そんな俺たちのことなんて、露のほども知らないで、笑っていやがった。


 何もしなくても、パンが食えて、温かいスープが飲めて、雨露しのげる家があった。


 それがさ・・・悔しかったんだよ。


 アイツと、俺はどこも違わないのに・・・同じ人間だというのに・・・・さ・・・。」







浮浪者は言う。


「言い訳するな・・・。


 どんな理由を並べようと、いかなる懺悔をしようと、罪は消えたりせん。


 オマエが犯した罪は、一生、オマエが背負い続けなければいけないモンや・・・。


 ソレを自覚したまま、行き続けろ馬鹿・・・。」






 さまよい続ける、少年が放った銃弾は、ドコにたどり着こうとしているのか・・・。


 多くの人を犠牲にした少年の銃弾は、いかなる理由があろうと、許される弾丸ではない。


 だから・・・。



「ねぇ、海人・・・私たちは記憶を失って、幸せだったのかな?」


「さあな・・・でも・・・いくら忘れようと・・・俺たちの過去が・・・。」

 罪が・・・

「消えたワケやない・・・・・。」



 ・・・・・・・・・・贖罪など・・・ただの気休めでしかない・・・・・・・・。