高野先生の腕のなか




高野は無言でハンドルを握る。


ラジオも音楽もかかっていない車内は、ただ走行音だけが響いて物寂しい。


「……青、好きなんですか」


窓の外を眺めながらなんとなく口を開くと、高野もフロントガラスを見つめながら答えた。


「え?…うん、そうだね。好きかな」


それ以上会話なんて続かないことは分かっていたが、私は口元を緩めた。



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