高野先生の腕のなか




五月の初旬のことだった。


休み時間に、私が落とした消しゴムを拾ってくれたのは、席替えによって隣の席になった神山くんだった。


『どうぞ』


爽やかに笑う彼に、私は自分の顔に熱がこもるのを感じた。



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