それを見て店長が上品に笑い出す。
この雰囲気が、いつの間にか大好きになっていた。
周りのお客さんもケラケラと楽しそうに笑ってくれる。
郁人も顔立ちやスタイルが良いせいか、郁人目的で来るお客さんもチラホラ出始めていて、このじゃれ合う様子を見れば嫉妬の声も聞こえてきたり。
だけどあたしは、そんなのどうだって良かった。
気にする事でもないし、と店長はたまに励ましてくれたりもする。
「ほーら、瑞樹ちゃんサボらない!」
すると後ろから聞こえてきた声に、"はーい"と返事を返すと、カウンターをくぐった。
若い男の人は、上野先輩と言ってとても優しいお兄さんみたいな存在。
あたしは上野先輩に渡されたコップを洗い場で洗った。
そんな時…
カランカランと鳴った扉の音が、店内に響き渡り案内しようとカウンターに出た瞬間。

