櫻色~笑顔の素敵な君~


「日和ちゃん?」
この低い声を忘れる
訳なかった。

山上幸也。

「な、なんですか?先輩?」

こんなとこまた
誰かに見られたら
また麻紀達に
いじめられちゃう。

「日和ちゃん、俺と付き合って
くれないか?」

わたしは耳を疑った。

頭のなかでは
情報が整理できなくて
混乱した。

「だめか?日和?」

わたしはパニックに
なってその場から
走り出した。

気付いたわたしは
屋上にいた。

そう辛いときは
空がみたいから。

ママが教えてくれたの。

辛いときは空を見上げなさい。
お空さんがね、元気を分けてくれるから。

わたしはそう信じて
空を見上げた。

どれくらいの時間が
過ぎたんだろうか?

時計を見ると
1時間以上経っていた。

いけない!教室に
戻らないと。

わたしは教室に
戻り席についた。

先生には
保健室で休んでいたと
嘘をついた。

そんな日の帰り道
いつものようにひとりで
帰宅するわたし。

下駄箱に向かうのに途中
わたしに恐怖が襲いかかった。

玄関には
鬼の形相をした
麻紀の姿が。