母さんはなにかと
不器用でおっちょこちょいだ。
でも今年40歳とは
思えないほどのスタイルの良さだ。
息子の俺が言うのもなんだけど。
急いで玄関に向かう母さんが
俺に向いて一言。
「櫻ーっ!今日もパパとママ帰り
遅くなると思うから悪いけど
夕飯適当に済ませてね。」
「はいよー。気をつけてね。」
「おう!いってきます。」
リビングから
「ママー!いってらっしゃい。」と
父さんの声が聞こえる。
そんな朝から
騒がしい母さんを
見送って再び部屋に戻る俺。
部屋のドアを開けると
ちょうど携帯が
鳴っていた。
今流行りのスマートフォンって
奴だ。この時間の電話の
相手なんて奴しかいない。
「もしー?おはよー!櫻ちゃん!w」
こんなふざけた
呼び方する奴、俺の相棒の
佑樹しかいねー。
藤堂佑樹。
俺の幼馴染で
昔からよくつるんでた。
バレンタインのチョコも
俺の次くらいに貰ってて
友達の俺の立場から
見てもカッコイイけど
陽気なところがたまにキズかな?
「佑樹。その呼び方やめろよ。」
冷たく接する俺に佑樹は
「つめたっ!ほんとに人の子ですかー?」
っとおどける佑樹。
「もういいからwそれでなんの用だよ?」
「いやいや。日課のお迎えに上がりましたけどw」
そうこいつは
頼んでないのに
毎朝迎えにくる。
まぁそんな人なつっこい
佑樹のこと嫌いぢゃないけどね。
ちなみに進路も佑樹と
一緒な理由はただひとつ。
お互い自宅から近い高校に
行きたかったからだ。
バスで片道15分のところに
ある。まぁ歩いてるいけない
こともない距離だ。
「今出るから待ってろ!」
そう告げて電話をきる。
真新しい制服に
身を包み父さんに挨拶をして
お気に入りのスニーカーを履き玄関を出る。

