今思えば
俺達が出逢ったのも
今日みたいな
よく晴れた桜の季節だったね。

お前はいつも
ここから
青空ばかり見ていたね。

お前は名前の通り
晴れが大好きな奴だったな。

-5年前-

「あーだりぃ。」
よく晴れた朝が
やってきた。
桜の花びらが
風に乗って
窓から入ってきた。
そう今日から
俺は高校生だ。

俺の名前は
大倉 櫻(さくら)
よく男なのに櫻って
名前だから小さい頃はよく
名前でいじられたりして
あまりこの名前は昔から
気に入ってなかった。

今年16歳になる
俺は実は中学生の頃まで
芸能事務所に所属していた。
ドラマとか舞台とか
テレビにはよく
出ていたりして
そっちのほうが忙しくて
あんまり学校に行けることが
少なかった。
たまに学校にいけば
テレビみたよ!とか
すごいね!とかよく
みんなは言ったりしてたけど
実際の所あんまり嬉しくない。
3歳の頃から芸能事務所に
所属していた俺は
母親の一方的な
方針で事務所に放り込まれた。
自分が叶わなかった夢を
俺に押し付けてるみたいだ。

そんな日々に嫌気がさした
俺は母親の反対を押し切って
事務所をやめた。
マネージャーにも
「何度も考え直してくれ」って
頼まれたけど俺の考えは変わらないよ。

もう疲れちゃったんだよ。

「ごめんね?母さん」