恋でついた傷は
恋でしか癒せない…


佳奈の言葉が木霊する。


中庭を通るたび
胸が痛い。

あの日の
ことを思い出して
しまうから。


俺は弱い人間だ。


千晶と付き合ったことは
次の日瞬く間に
知れ渡り話題になった。


これだけ話題に
なれば当然日和の耳にも
届くはず。


俺はもう前に進んだんだ。

日和はもう
前に進んでますか?


千晶は
自分のことを
たくさん話してくれた。

俺に知って欲しくて。

そんな健気な千晶が
すこし可愛く見えた。

千晶は俺が
日和と付き合ってたことは
知っていた。

俺から日和のことを
千晶に話すことはなかったが
千晶は日和の話を聞きたがる。


俺は日和の話は
しなかった。

少し不満そうな顔をする
千晶、するとお前は


「あたし、日和さんに負けないように
いい女になるからっ!」


千晶は
俺の心の穴を
埋めることができる?