明日華──。
「なぁ明日華ー。今日暇?」俺の親友、茉友が机から身をのりだして聞いてきた。
「うーん…」俺が曖昧な返事をすると茉友は素早く突っ込んだ。
「どっちだよ〜!」
「あっ…ああ…暇だよ〜」俺は慌てて返事をした。「よっしゃ!じゃーカラオケ行こうぜ?」
茉友は小さくガッツポーズをしながら言った。
「ああ、いいぜ!行こう。」そう言って俺は茉友に背を向けた。
明日華───。
何処からか俺を呼ぶ声がした。
明日華──。
「茉友〜。呼んだか?」
俺は茉友に聞いてみた。「いやっ…呼んでねーよ」茉友は不思議そうな顔をした。
(茉友が俺を呼んでないとすると誰が俺を呼んだんだ?教室には俺と茉友しかいないし…)
「どうしたんだよーー?明日華!」
茉友の声でハッと我に返った。
「悪い悪い何でもない」俺が焦ってそう言うと茉友が
「早く行こうぜ!」
と言って教室を出て行った。
(きっと空耳だったんだ。気にしないでおこう。)そして俺も教室を出た。
