ふと気付いた時には、 そこは血の海と化していた。 恋を知り、愛を知ったあたしは、 裏切られた時の苦しみを、 血で流そうとした。 でも、この手に残った、 愛する人をこの手に掛けた自分への憎しみと、孤独は綺麗に流すことが出来なくて。 赤く染まった先生を、 ただ、ただ、見つめていた。 血も涙もない、 この場所で。 「先生…」 あたしは泣き方さえ分からずに、あなたを呼ぶだけ。 END