唇からはみ出た血を手で拭うと、赤黒い血が手の甲に伸びた。

ぺろっと下を出してその血を舐めると、しゃがみ込み死んだ男の唇に自分の唇を重ねてから耳元で囁く。


「…ごちそうさま」


このキスはほんのお礼よ。
喜びなさい。
こんな安っぽい血でも
あたしの腹を満たせたことに。

でも、やっぱり先生の血が一番ね。
だから、彼は殺せないのよ。


「ふふふ…」


そして、伸びた足が向かう先は、彼の居る高校の保健室。

先生の血が飲めるって想像しただけで、喉がゴクリと音を立てた。


彼は変態だ。
血を吸われている間、
楽しそうにあたしの胸を
触っている。
先生曰く、血はタダじゃやらんっ!体で払え体で!
ってことらしい。

他の男ならあたしへの下心を必死な隠しながら、肌に触れてくる。
でも、先生は隠すどころが、堂々と鼻血まで垂らしてあたしに触るんだ。
先生は、ただの、餌じゃない。
先生はただの男じゃない。
あたしにとっての特別。


「…先生、来たよ」




多分、好きなんだと思う。