5階建てのマンション。
ここの3階にアイツは住んでいる。
マンションの前で突然足を止めた俺に気付いて海羅が顔を見上げた。それを見た海羅の母親が口を開く。
「ここなの?」
コクリと頷いて見せると、俺の代わりに海羅が「うん、だって」と答えてくれた。
俺はここまで来て迷っていた。
アイツに会っていいのか、って。
俺が死んで何日、何週間、何ヵ月経ったかは忘れてしまったけど、もうアイツが俺のことを上手く過去に出来ていたとしたら、
今更、会わないほうがいいんじゃないか?
また俺はアイツを泣かせてしまうんじゃないか?
苦しませるんじゃないか?
「ゆーれいさん?」
海羅が心配そうに俺の顔を覗き込んだ。俺はそんな海羅に上手く笑い返せない。
「どうしたの?」
「いや、やっぱり……」
そう言って後ろに一歩下がったところで、海羅の母親が口を開いた。
「きっと、喜ぶはね、彼女さん」

