「でもね、ゆーれいさんもおんなじ。おにいちゃんとおんなじなの」
海羅は母親の腕を掴んだまま大きな瞳を哀しげに揺らしながら口を開く。
俺は、そんな海羅から目が離せなかった。
なんて顔してんだ。
まだ子供なのに。
お前はその小さな体で
一体何を見てきたんだ。
「おにいちゃんもままのことしんぱいでたくさんないてた」
海羅の母親は空いてる方の手で海羅の頭を撫でる。
たくさんことを見て、
たくさんのものを抱え、
たくさんの想いを知る、
この小さな天使のような女の子が、
「ゆーれいさんもね、ないてたの」
俺のために泣いている。
なんでお前が泣くんだよ、
って笑ったつもりだったのに、頬を伝うこの雫が涙だと分かった途端止まらなくなった。

