「……あの女にっ」
「ゆーれいさん?」
ジャリと地面に足が着く音がして、それと同時に、下唇に痛みが走る。
そんな様子を、海羅が心配そうに見ていた。
「あぁ、ごめん」
そう言って海羅に微笑むと、唇の痛みが自分が無意識に噛んでいたからだと知った。
そして、再びブランコを漕ごうと、地面を蹴った時、
「海羅!!」
「ままのこえだっ」
俺の膝の上からぴょんと跳び降りると、そのまま声のする方へと駆けて行く海羅の姿を目で追い、その先に居る女性を見る。
まだ制服が似合いそうな、幼い顔をしていて、真っ白な肌とその小さな体からは母親だと言うことを疑ってしまうほどだった。
………でも、
「このバカッ」
「いっ」
拳を海羅の頭にぶつけて怒る姿は母親そのもので、小さくてもあの子のママなんだな、なんて思ってしまった。
俺は、殴られた頭を擦りながら、半泣きでごめんなさいと縮こまる海羅が可笑しくて笑いながら海羅に近づく。
しかし、母親の次の言葉で、俺の足がピタリと止まった。
「公園に一人で居たら危ないでしょ?」

