俺は海羅に目を移す。
どうしてだ?と聞かなくても俺の顔で感じとったようだ。
「おにいちゃんもそうだった。あたしがさわったらペンがもてたの。それでかいてくれた、バックにおなまえ」
確かにそうだ。
物に触れられない幽霊がペンを持って海羅の名前を書いたって、今考えれば不思議な話だった。
そうか。そういうことだったのか。
ニコッと無邪気に笑う海羅に俺が笑い返すことが出来なかったのは溢れそうになる涙を抑えるためだ。
………これでアイツに触れられる。
嬉しくて、愛しくて、
気付けば海羅を抱き締めていた。
「ゆーれいさんどうしたの?」
「もうちょっとだけ、このまま……」
「ないてるの?」
「……少しだけ、ね」
「いーこいーこ」
海羅の小さな手が頑張って俺のデカイ頭を撫でようとして、微かに指先だけが髪の毛を揺らしていた。
「ありがとう……」

