「あ、あのシスターさん。今日はもう閉館ですか、電気も消して……!?」

私は息を飲んだ。

そこにいるのは間違いなくシスターだった。

背格好も一緒だし優しい笑顔も変わらない。

ただ、目が死んでいた。

「どうかしましたか?」

まるで礼儀作法の見本のような機械的なしゃべり方をするシスターに私はただ戦慄した。

「い、い、いえ…な、何もありません」

「そうですか。」

そう言ってシスターは私との視線を外し、礼拝堂のマリア像に熱心に祈りを捧げ始めた。

シスター故の仕事なのか、非常に熱心にやっていた。

いくら教会のシスターでもここまでするだろうかと思うほどに…

「な、何が起こっているの。気味が悪い。」

私はその場の雰囲気に耐えかねて、教会の玄関扉を開けて外に出た。

そして…最初に目に飛び込んだ物に言葉を無くしてしまった。

「な、なに…あれ?」

私が見たもの、それは式町の中心に建てられた様式の巨大な要塞だったからだ。