「ぐぅ…!」

息が出来なかった。

その拳の衝撃はその後も体の浮遊感によって認知できた。

遠ざかる悪魔との距離。

感覚が研ぎ澄まされ、まるでスローモーションのように周りの風景が流れた。

着地もままならず、地面を転がり、止まった。

「ごほっ…がはっ…」

余りの痛撃に盛大に咳き込んだ。

口回りを押さえた右手が吐血によって赤く染まっていた。

朦朧とする意識の中で私は力を振り絞り何とか立ち上がろうとした。

しかし、私は息を飲んだ。

私の前で突きつけられた刃先が目の前にあったからだ。

今度こそ勝負ありだった。

私の負けと言う形で…

「ふっ…」

息を一つつき、私はただ、叩き斬られるのを待った。

だが、悪魔は持っていた武器を下げ、意外な事に質問をしてきた。