店の中には客が、1人、2人いたほどだった。私は誰もいないカウンターに座った。
「おぅ、いらっしゃい」
気のよさそうな男が声をかけてきた。
私は軽く会釈をして、メニューを見た。
「コーヒーと蒸しパンをお願い」
「了解。」
注文したはいいが、お金は足りるだろうか。
私は太ももにつけてある財布に手を伸ばした。
触った感覚で足りるとわかった。
紙が何枚か入っていたからだ。
私はほっと、息をついた。