まさか、私は彼にぶつかってしまったの?


嘘だ。

そう思いたいけれど、どう考えたって彼以外の人なわけはなくて。



「あ……ごめんなさい」



心配そうに首を傾げながら私を見てくる彼に対して、そう小さな声で答えるのが精一杯だった。


大きな音を立てて鳴る鼓動。

それが彼に聞こえないか不安で。


大きい二重に囲まれた瞳の中に私が映るのが見えた。

何度そこに映してほしいと思ったことか。



「あのっ、すんません!大丈夫すか?」



突然背後から呼びかけられて振り向くと、さっきまで一緒にバスを待っていたあの男がいた。