「今日さ、職場の若い子と話してたら、その子も高校中退して高卒認定取ったんだって。その時に勉強の世話をしてくれた女の人がいるらしいんだけど、ほのも会ってみないか?」


「学校?」


「学校っていうわけじゃないみたいだけど、俺も詳しくはわからないんだ。だからその人に会って詳しいことを聞いてみないか?」


「真人さんもいっしょ?」


不安げな顔で下から見つめてくるから結局可愛さに負けて抱き締めてしまう。


「もちろん、一緒。実は今日の夜一緒にご飯を食べることになってるんだ。勝手に決めてきてごめん。だけど、良い機会だから、な?」


「うん。真人さんが一緒なら、大丈夫です。」


ほのかの小さな手が俺の服の袖口を遠慮がちに掴んで、信頼を示してくれる。本当に仔猫みたいな子だ。


「よし、じゃあ出かける準備をしないとな。この前買ったワンピースに着替えておいで。」


「はーいっ!」


元気良く返事をしてほのかはクローゼットのある寝室に向かった。


頑なに他人と接しようとしないほのかが、俺と一緒とはいえ知らない人に会うと言ってくれた事だけでも一歩前進だ。