「ヒャッ!」 俺の声に驚いたのか変な声を上げるその子は、反射的に手で頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。 (急に話し掛けるのはマズかったか?) 「…ぁれ?」 恐る恐る顔を上げてこちらを見る姿はまるで小動物のようで、つい凝視してしまった。 「あ、、ごめんなさい…。き、旧館は…ここです…。」 身長差のせいで上目遣いになってしまい、しかも涙目になっている目の前の女子。 (か、可愛い…。) 俺は照れ隠しで何も言わず館内の本を見ながら歩き出した。 ・